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日本人の私の手の甲にキス_占領期の日本駐在経験者と出会った2018/02/08

日本人の私の手の甲にキス_占領期の日本駐在経験者と出会った

私たちが住むコミュニティーと、隣接する違うコミュニティーを合わせると、

正確には知りませんが、おそらく120棟くらいはあると思います。

両方のサークル内をオータムの散歩で通る私を、ここの地域に住む人々の誰もが

知っているのかもしれません。犬の散歩でいつも歩いているアジア人は、

アメリカ人の夫を持つ日本人よ〜って、口伝えに聞いているんだと思います。


そして、

いつものように隣のコミュニティーを歩いている時でした。どこのお宅でもよく

見る光景なんですが、あるお宅の庭先で掃除をしていたその住人の姿を見るのは

この時が初めてでした。ハローと挨拶して通り過ぎようとしたそのときに、

”こんにちは” と、確かに聞こえたその日本語に瞬時反応した私は笑顔で、

あなたは日本語で”こんにちは” と言いましたか〜と言いながら歩み寄りました。


するとですね、その男性は何と第二次世界大戦後の1947年の占領期に18ヶ月

東京駐在していたことを話してくれました。そして、覚えてる限りの日本語を

数の数えから始まって思いつくままに話し始めてくれました。私達の親の年代の

人が一切喋ることがないアメリカ生活で、長い年月が過ぎてそんな片言だけでも

今も覚えてるなんて、やはり若い時の吸収力はすごいなと思いました。


ふと見ると、奥さんの車でしょうか、一台駐車場に入ろうと停まったので、

Have a good one! で、そこを去ろうとするとですね、極々自然に彼の方から

私に握手をしてくれました。そして、更なるその心境は何だったんでしょうか...

その後、ごくごく自然に私の手の甲に軽くキスしたのでした。


もちろん普通の日本人の私がそんなことされたことなく、普通はびっくりして

しまうのですが、たった数分間のことでしたが、私も何か感慨深い心持ちに

なっていましたので、その自然な行為に何の躊躇いもありませんでした。


どちらかと言うと私は情緒的に物事を捉え感性や直観を重視する傾向です。

なので、何かを懐かしむような日本への深い想いのようなものが、その男性から

伝わっていました。想像の範疇であって、その男性の心境の真意はわかりません。


戦争を知らない世代の私には、もちろん日本占領時代の認識が全くありません。


その男性がどんなポジションで東京駐在していたのでしょうか、遠く若き日に

特別な時を日本で過ごした人、戦後すぐの日本の様子や実態は知りませんが、

私の直観では、この人は心のある普通の人であって、日本人の私と話をして

一気にその18ヶ月過ごした月日のたくさんの事が蘇って、純粋に懐かしかった

んではないかと思います。 ましてや終の住処で再び身近で70年ぶりに日本人と

会って話をするなんて夢にも思ってもいなかったんだと思います。


手の甲へのキスは、「敬愛」を表す意味になるそうです。敬愛される覚えは

もちろん私にはありません。 私が快くその男性の握手を受け入れたことで、

なんですかですね…その男性には日本人への親愛の情があったんだと思います。

18ヶ月の占領下の日本でのあらゆることが走馬灯のように駆け巡り、

そんな私たち日本人のために言葉にならない『何か』を伝えたかった...

実は彼にとっては、私の手の甲は日本の大地だったのではないでしょうか...


感傷的な私はどうしてもそのように平和的に解釈してしまうのですが ...


心無い日本人もたくさんいます。心ある優しいアメリカ人もたくさんいます。

日本人をこうして敬ってくれる人との出会いとその縁の不思議さを感じます。


たったこれだけのことで、私は子供のように嬉しくなってしまうんですね。


日本人の血が流れる私の魂で何かを感じ取ったこの小さな良き経験なんですね、

なので、万が一にその私の尊い経験の気持ちをあっさりと、何だそれ!で、

壊されたくないので、相棒には、握手して別れたことだけを話しました。


この時の微妙な心の状態は、日本語でも表現しきれないのに、

英語では到底表現できませんので、話さないのが無難であろうと判断しました。