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淡い現実と書き込まれた記憶2014/04/24

淡い現実と書き込まれた記憶
介護度1の認知症でグループホームで生活している母に会うことが一時帰国の

主要な目的です。今年は三回訪れました。 昨年の一時帰国で面会した時には、

私を認識しておりましたが、今回は全く分からなくなっていました。

週一のスカイプでの面会は私が渡米してから2年近く続けており、この時には

私を認識しますが、離れて暮らした年月の流れで過去の中の娘の記憶はあっても

目の前の現実で見る現実の私と記憶の中の娘が一致しないようです。

試しに母と世間話をするように話しかけてみました。

『娘さんはどんな方で今どこにいらっしゃいますか?』... 今、娘がアメリカに住

んでいることも、相棒と日本で2年半年間を一緒に暮らしたこともあって今のと

ころ相棒のことも辛うじて記憶しています。愛犬ジャズのことは一緒に6年間を

密に暮らしていたのでよく覚えていて死んでしまったことを今でも悲しみます。

母は現在88歳ですが、母自身の頭の中では83歳のままで止っており、

そのころから認知症が始まっていたのだと思います。

私は話しをしながらその間ずーっと母の肩を抱き髪の毛を撫でたりしながら

母とのスキンシップをしていました。記憶の奥底にある何かに言葉ではなく娘の

手の温もりをそこに伝えることで何か通じ合っている感触がありました。母も嫌

がることもなく感謝の気持ちいっぱいに笑顔を見せてくれました。こうして今だ

からこそ母の身体に躊躇いなく触れられることの幸せさえ感じたものでした。

母は認知症になっても関わる人への気遣いを忘れずいつも丁寧な姿勢でスタッフ

の方々へ感謝の気持ちを表しています。母のようなお年寄りになれるように心がけ

たいとおっしゃってくれます。母のモットーは人様に迷惑をかけずにいつも誠意

を持って接することでした。母は認知になってもその心がけは忘れていません。

その母の人柄に改めて今関心している次第です。 皆様によくして頂き幸せに

暮らしているので心配しないで下さいと母は丁寧に私にさえも言います。

グループホームに入居した日、介護士さんの胸の中で一時間ほど号泣しながら

すべてを吐き出した後、母なりに覚悟を決めた瞬間に、もう泣いていても仕方な

いのでここでお世話になることにしましたと言ったそうです。それから母の心は

本当にまっさらになって毎日笑顔で淡い現実に包まれて幸せに暮らしています。

この塗り絵は力強く何色もの色鉛筆でしっかり塗り重ねたそうです。母の意志の

強さを感じます。私の前で歌った事がない母でしたが、カラオケも自らすすんで

歌うそうです。昨日会いに行った時には童謡の”春よ来い”をお茶の時間に気持ち

よさそうに歌っていて娘の私は初めて聴きちょっと驚きの瞬間でした。内に秘めた

気丈さに支えられて淡い現実に生きている母を愛おしく感じた今回の訪問でした。

(UV121)



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